中国を特にはじめとするBRIC市場の景気減退が話題となっている中、多くの業界企業はBRICs諸国が今後も引き続き美容・パーソナルケアの分野の成長を担う主要エンジンになるのかどうかと興味を寄せている。その答えは非常に単純に「イエス」である。ユーロモニター・インターナショナルでは、BRICs諸国の美容関連への消費は減退する傾向が全く見られないことから、2011~2016年までにBRICs諸国は新たに350億米ドルを全世界の美容・パーソナルケア産業に貢献すると予測している。さらに、最近の市場動向をみると、これらのダイナミックな成長市場はトレンドフォロワーではなくトレンドセッターになる傾向がますます強まっている。主要な業界企業はBRICs諸国のビューティー市場からアイデアを得て、他の国々にそれを広めている。
BRICs市場 予測絶対成長値 2011~2016年
BRICs諸国のパワー
2008年以降その成長率が初めて一桁になったとはいえ、ブラジルは今後5年間における小売額ベースの利益において最大の貢献国となると見られている。同国で開催予定の2014年のワールドカップおよび2016年のオリンピックによって、海外からさらに多くの投資を引き寄せられることが予想され、最低賃金の引き上げおよびヨーロッパ経済から距離を置くという今後の政策もあり、ブラジル経済は一層発展すると見られている。
一方、中国では経済の景気減退は続くものの、2011~2016年における美容関連の売上高への貢献度はブラジルに次ぐ二番目の規模である。これら二ヶ国が、ビューティー市場成長の最大の要因となるだろう。
トレンドを作るBRICs諸国
韓国発祥のBBクリーム(Blemish
Balm cream)やアジアのホワイトニング/ブライトニング製品、人気急上昇のインドの天然成分、ブラジル生まれのブラジリアン ブロードライにみられるように、美容・パーソナルケアの世界的なトレンドの発祥地に変化が現れている。例えば、その他の顔用メイクアップの分野(プライマーやBBクリームを含む)は、BBクリームが登場するまでは北米では低成長の分野であった。しかし、BBクリームの登場によって、2009年には3%だった成長率が2010年には12%近くまで急上昇した。BBクリームの大流行によって、ティンティッド(色付き)モイスチャライザーもその終わりがメーカー達に危惧されているほどである。また、BBクリームの人気によって、CCクリーム(Colour Correction cream)が生まれたが、これも最初に登場したのはアジアであった。これらの成功を受けて、P&G社は、2012年10月に米国にてオレイ トータル イフェクツCCクリームを発売した。
BRIC市場に触発された美容・パーソナルケアのトレンドはスキンケアカテゴリーに最も顕著に表れており、2011年の同カテゴリー売上高の40%以上がアジア太平洋地域によって占められている。アジアから欧米へ進出した製品カテゴリーおよびトレンドの最も顕著な例がホワイトニング/ブライトニングである。
北米では2011年に顔用のホワイトニング スキンケアが9%の伸びをみせた。北米と西欧ではホワイトニング製品は「ブライトニング」や「ラディアント スキン」、「イブニング スキン トーン」などの名称で販売されているが、基本的に全て同様の製品である。化粧品会社は顧客の需要に対処すべくアジア太平洋地域以外でも、クレンザーからヘアトニック、アンチエイジング、さらにはクリニーク社で高い人気を集めているイーブン ベター アイズ ダークサークル コレクターのようなアイケア製品まで、多様なホワイトニング/ブライトニング製品を発売するようになった。
高まるBRICs諸国の消費者購買力は、今後も引き続き美容・パーソナルケアの将来を形成していくことになると見られている。さらに、経済成長を続けるこれらの国々の消費者達はますます洗練されてきており、その文化的影響とビューティー市場は今度も業界の世界的なトレンドを作り出すことになるであろう。