世界経済は2013年、不透明で懸念に満ちた新たな年を迎える。2012年、景気回復が始まり、先進国および発展途上国が直面するいくつもの課題への解決策が見つかるであろうとの期待が流れたが、残念ながら2013年は、先進国の緊縮財政は逆効果に終わり、新興市場では成長のために互いに頼り合い、国内市場を頼みの綱にしなければならなくなるであろうと見られてる。明るい面を挙げれば、2013年の世界経済は3.5%の実質成長率が予測されており、2012年の3.3%という数字より若干の向上が見られる。ただし金融危機前2007年の5.4%には依然としてほど遠いものとなっている。2013年が進むにつれ、成長も上向きになると見られ、ユーロモニター・インターナショナル
実質GDP成長率:2007~2013年は不安定ながらも景気が回復されると予測している。
出典:国家統計/ユーロスタット/OECD/UN/国際通貨基金(IMF)によるユーロモニター・インターナショナル、世界経済見通し(WEO)
注:2012/2013のデータは予測となります。
近頃発表された当社の特別レポート「Global Economic Prospects for 2013」(2013年の世界経済の見通し)では、2013年に世界経済の成長にマイナスの影響を及ぼす可能性のある問題点を考察している:
- 2012年に実施された規模での財政再建では実質GDP成長率にマイナス影響をもたらす事が明らかであるが、先進経済国の緊縮経済政策は2013年も続くと見られている。英国の財政再建計画および英国より緩やかではある米国の財政再建計画により、英国経済は2013年に「三番底」の景気後退の恐れにさらされる逆効果となっている。
- 間近に迫った米国の財政の崖(Fiscal Cliff)は大西洋の反対側にも影響をおよぼし、2013年のあらゆる回復の望みを脅かしている。財政の崖は、一連の減税案および財政支出が2012年12月31日に失効となることによって起こるとされ、オバマ政権と下院の多数を占める共和党がそのいずれか、または両方の法案の2013年への延長に合意しない限り回避は難しいとされる。
- ユーロ圏の経済危機は、2012年の不適切な政策措置やブリュッセルで政策決定者たちが財政同盟(Fiscal Union)の結成や構造改革の推進といった行動を取りたがらなかった事もあり、2013年にもつれこむ。
- 商品証券に対する懸念は2013年も依然として続く見込みである。政府が貿易・資本規制を設けて国内経済からの外貨の流出をストップし、安い輸入品を締め出し、より高価な国産品・サービスを優遇しているため、保護貿易主義によって、国際貿易の流れが不安定になっている。
- 失業率は、主にユーロ圏、その他の西欧諸国、米国をはじめ、先進国全体で上昇が続き、投資や雇用創出の促進を意図した低金利や一連の量的緩和にもかかわらず依然として高いままになっている。
米国および西欧諸国では継続的な財政危機や高い失業率、消費者意欲の減退があるが、2013年はほとんどの地域がある程度の実質成長をすると見られている。ユーロ圏は実質GDP成長率が-0.1%になると予測されており、2013年にマイナス成長が予測される唯一の地域である。当社の最近の特別レポート「Short-Term Forecast of
Global Real GDP Growth」(世界の実質GDP成長率の短期予測)では、世界中の2013年の予想成長率を考察している。
- 地域的には、アジア太平洋地域は実質成長率が5.9%になると予測されていることから、2013年に最も急成長する地域になると見られている。
- 西欧は2012年の0.1%の縮小から2013年には0.5%の成長率に戻ると予想されている。
- 先進国市場の2013年の実質成長率は1.4%になると予測されており、主要な成長エンジンである発展途上国は5.5%の成長が予測されている。
2013年は、世界中の政策立案者が2012年に直面したのと同じ多くの問題に取り組むことになるであろう。しかし、2012年に教訓は学ばれており、ユーロモニター・インターナショナルは2013年下半期に現れる景気回復の兆しに期待を寄せている。