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健康志向が促進する植物性食品市場

6/13/2022
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※本記事は英語でもご覧いただけます:Health Continues to Drive Plant-Based Food Sales

動物性食品に代わる植物性食品が登場し、普及するようになって以降、消費者は様々な理由から植物性食品への関心を高めている。中でも最もよく挙げられる3つの理由が、健康への懸念、環境フットプリント改善への関心、そして動物愛護である。他にも様々な動機(例えば、友人や家族のためなど)があるが、調査によると、これらが「3大理由」であることがわかる。

2021年、ユーロモニターインターナショナルが発表した「ボイス・オブ・ザ・インダストリー:ヘルスアンドニュートリションサーベイ」調査によると、植物性代替肉の主な成長要因は健康であることが明らかとなった。同年の調査では、植物性代替肉を食べたことがあるとした回答者の37%が、その理由を「より健康的だと感じるため」と回答し、25%が「長期的な健康リスクを避けるため」だと回答した。この2つの回答が全体の中でも1位と2位になっている。

2022年、なぜ代替肉なのか?

「ボイス・オブ・ザ・インダストリー:ヘルスアンドニュートリションサーベイ」の2022年版では、これらの動機付け要因が、前年に比べて変化したかどうかについての洞察を得ることができる。2021年版発行時からすると、ワクチン接種率や規制緩和などにより、多くの人々にとって新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに対する懸念が薄れたことから、健康への不安も落ち着きつつある。また、市場によって異なるものの、外食機会もある程度戻ってきている(例えば、中国は他の国々に比べ、厳しい規制やロックダウンが長引いた)。加えて、経済的な懸念が表面化し、インフレによる食品価格の高騰が起きている。植物性代替肉は、価格面ではいまだに動物性肉とは同等水準ではないことから、これは非常に重要な問題である。

消費者に、加工済み植物性代替肉を摂取する理由を聞いた。

植物性代替肉を摂取する理由TOP7(2021年~2022年)

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植物性代替肉を購入する人にとって、健康が依然として主要なドライバーであることは明らかだ。これらの製品を食べる理由として、37%は「より健康的だと感じるため」、25%は「長期的な健康リスクを回避するため」と回答している。この2つの回答は、「環境への影響を軽減したい」(23%)、「動物愛護を促進したい」(20%)という理由を抑えて、2022年もまた上位を占めている。

しかし、健康への関心は明らかに高いが(実際、7番目に多い回答もやはり健康がベースにある)、健康を動機として選ぶ割合は前年比で横ばいとなっている。一方、環境と動物愛護のために植物性食品を選ぶ消費者は徐々に増えている。

乳製品の全体像

「ボイス・オブ・ザ・インダストリー:ヘルスアンドニュートリションサーベイ」2022年版では、新たに乳代替品を選ぶ動機についての質問を設けている。加工赤身肉の摂取に関する健康上の懸念(肥満、心臓病、癌など)は、動物性乳製品の摂取に関するそれとは異なる。しかし、多くの消費者にとって動物性乳製品の摂取は、皮膚病、消化不良、体重増加、アレルギー、さらには食物連鎖における遺伝子組み換え飼料への懸念などと結びついている。また、酪農が環境に与える影響に関する議論や、動物愛護への懸念が高まりつつある。例えば、米国では最近、乳牛の扱いに関する訴訟が注目された。

消費者に、植物性乳代替品を摂取する理由を聞いた。

植物性乳代替品を摂取する理由TOP7(2022年)

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今回の結果を見ても、健康への懸念が重要であることは明らかであり、40%近くの回答者が「より健康的だと感じるため」に摂取していると答えている。実際、上位5つの回答は健康への懸念に関連するものである。「糖分の摂取量を減らす」は、「長期的な健康リスクを回避する」をわずかに上回った。健康に関する理由の次には、「3大理由」の残りの2つが続く。16%は「環境への影響を減らすため」、そして14%は「動物愛護」の観点から植物性乳代替品を摂取していると回答している。

否定的な意見にも注目

「ボイス・オブ・ザ・インダストリー:ヘルスアンドニュートリションサーベイ」調査では、これらの製品を食べない消費者が、なぜ避けるのかも明らかにされている。植物性代替肉、植物性乳代替品ともに、「味を楽しめない」が(再び)最も多い理由として挙げられている(このように回答したのは、植物性代替肉を食べない人の28.8%、植物性乳代替品を食べない人の30.4%)。しかし、このような不満は時間の経過とともに減少傾向にあることがわかる。これは、植物性カテゴリーが確立するにつれ、企業が努力を重ねて製品開発を行い、風味が向上したことの証左といえる。2021年には32.3%の回答者が植物性代替肉の「味が好きではない」と回答していたが、2022年には3.5ポイント低下している。

健康ハロー効果は続く(しばらくの間は)

少なくとも現時点では、健康への関心が、肉や乳製品に代わる植物性代替食品を選択する最大の動機付けとなっていることは間違いない。しかし、このことは、今後にひとつの重要な課題を投げかけている。すなわち、消費者が「ナチュラル」と考えられるものを好み、加工食品を避けるようになる中で、この「健康ハロー効果」が維持されるのかどうか、ということである。いくつかの主要市場国の規制当局は、どの食品が「健康的」であるかを消費者にとってわかりやすく、比較しやすくするための表示システムを導入しようとしている。こうしたことから将来、メーカーにとっては、単にラベルに「植物性」と加えるだけでは、自社製品を購入することが健康に良いことだと消費者を納得させることは難しくなるかもしれない。

当社がグローバルに行っているサーベイの調査方法の詳細は、こちらをご覧ください。また、サーベイの調査結果にご興味がある方は、こちらまでお問い合わせください。

(翻訳:横山雅子)

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