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電気自動車:勝者は誰だ?

3/25/2022
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※本記事では英語でもご覧頂けます:Who is Winning the Electric Vehicle Race?

運輸業界において脱炭素化が加速する中、自動車の電動化がモビリティと自動車業界を形成する最もホットなトレンドのひとつとなっている。2020年、世界の主要42か国における純電気自動車(BEV)の新車登録台数の割合は3.9%であったが、2021年には6.8%に上昇した。しかし、電気自動車(EV)の普及状況は国・地域によってまちまちである。北欧や西欧諸国での普及が進む一方で、多くの発展途上国や新興国、そして日本や米国を含む一部の先進国は遅れをとっている。電気自動車の普及につながる要因のひとつは、消費者の豊かさだ。しかし、補助金制度や税制といった需要サイドの政策や、充電インフラの充実、持続可能性に対する意識向上の促進といった要因も、各国における電気自動車普及の後押しとなり得る。

インセンティブや優遇政策によって先行する北欧・西欧諸国

純電気自動車(BEV)の新車登録台数の割合、上位5か国及び主要国(2021年)imagei3zsb.png

ノルウェーは、2016年から2021年にかけてBEVの登録台数が5倍に増加するなど、まさにEV先進国となっている。2021年、同国の新車登録台数の実に3分の2近くが純電気自動車であったが、これはEVを内燃機関を利用した車(ICE)よりも安くする数々の需要重視政策によるものだと考えられる。例えば、ノルウェーでは、EVは輸入税、道路税、付加価値税が免除される。また、道路通行料の免除、フェリー料金および駐車料金の引き下げ、バス専用レーンの開放など、EVオーナーにとって魅力的な特典が用意されている。実際、ノルウェーのEV普及率は群を抜いており、国際エネルギー機関(IEA)が2021年5月に発表した、新車販売の60%をBEVにする必要があるという「ネットゼロへの道筋」をすでにクリアしている。

他の北欧・西欧諸国も同様の戦略を採用しており、これらの国々ではさらに、エネルギー価格や地理的な要因も、間接的にEV化を後押ししている。アイスランドは、75g/km までの排気量の車両に対して登録税をゼロとしており、BEV やその他の低排出量車両が対象となる。さらに、化石燃料と比較すると電気は料金が安いことから、EVはコスト低減を意味し、消費者のEVへの切り替えを促している。一方、アイルランドでは乗用車のBEVに最大5,000ユーロ、商用車のBEVに最大3,800ユーロの補助金が支給される。また、アイルランドは国土が狭いことから都市間の移動距離が長くならず、充電ステーションを見つける前に車の燃料がなくなるのではないか、という「走行距離不安症」が抑えられている。

遅れをとる米国と日本、低価格EVで市場支配を目指す中国

米国と日本では、EVへの移行が驚くほど遅れている。米国では2021年の乗用車新車登録台数に占めるBEVの比率は3.4%、日本はさらに悪く、わずか0.8%に過ぎない。米国では、低い燃料価格、ガソリンを大量に消費するSUV車の需要の高さ、政府からのインセンティブが少ないことが、EVへの切り替えを阻んでいる。バイデン政権は、2030年から新車販売の50%をゼロエミッション車にすると明言しているが、この大統領令に強制力はない。

日本では、まずハイブリッド車による低排出ガス燃料への切り替えが推奨された。2021年、日本は220万台のハイブリッド車の新規登録を記録し、米国(77万台)、イタリア(52万7000台)、英国(49万2000台)など他の主要経済国を大きく上回った。しかし、純電気自動車の導入は伸び悩んでいる。充電インフラの整備が遅れていることや、国内メーカーによるEVモデルの展開が遅れていることにより、EVに対する購買意欲が低下している。

一方、中国はEVの増加が目覚ましい。2021年のBEV登録台数は前年比86%増の210万台を記録し、販売台数ベースではEVの最大市場である。EVの成長率という点では、北欧や西欧の一部の国々のような成功とまではいかないが、より手頃な価格のモデルの供給を広げ、「EVは贅沢な買い物だ」という固定観念を払拭しながら市場拡大を推し進めている。SAIC(上海汽車)、General Motors(ゼネラルモーターズ)、Guangxi Automobile (広西汽車集団)の3社の合弁会社によるWuling Hongguang Mini EV (五菱・宏光ミニEV )は、市場で最も低価格なEVと称され、価格はわずか4,500米ドルである。同モデルは2021年に中国国内で39万5000台と、最大販売数を記録し、2位のTesla(テスラ)のModel Y (モデルY)の16万9000台を大きく上回った。

事実、安価モデルは、特にEVへの移行が遅れている新興国や発展途上国における、経済的に必ずしも豊かでない消費者からは歓迎されるだろう。ユーロモニターインターナショナルが実施した「ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:モビリティサーベイ」調査によると、世界の回答者の61%が、EVの購入を阻む最大の要因としてコストを挙げている。この回答結果は、なぜ北欧や西欧諸国といった、世帯所得が高い国々の方がEVへの移行の進みが速いのか、その理由の一端を示している。

主要国の新車登録台数に占めるBEVの割合と世帯可処分所得(2021年)imagexwctb.png

インフラ整備とサステナビリティの重要性の高まりがEV移行を加速させる

EVへの移行を促進するのに重要な役割を果たすのが、税の優遇措置、消費者への特典、そして奨励金といったインセンティブだ。同時に、EVの充電ステーションの整備拡大やサステナビリティに対する意識の向上といった、他の重要な要素もEVへの移行を促進する。前述の「ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:モビリティサーベイ」調査結果によると、世界の回答者の42%が、EVを購入しない理由に、充電インフラが整備されてないことを挙げている。EVの購入をためらう理由として最も多いひとつに「走行距離不安症」があるなど、不十分な充電インフラは、EV業界の成長にとってボトルネックになっているといえる。EVへの移行を促したい国々にとっては、充電ステーションネットワークの拡大のための明確な戦略と大胆な目標を策定することが極めて重要となる。

道路網の長さあたりのEV充電ポイントの数と充電ポイントあたりのEV数(2021年)imageha3oo.png

また、温暖化対策の新しい枠組みであるパリ協定や、2021年に開催された国連気候変動枠組条約締結国会議(COP26)といった、国際条約やサミットの開催を背景に高まるサステナビリティに対する意識もEVの普及を後押ししている。2015年、196か国が署名したパリ協定では、2030年までに2010年比で、二酸化炭素排出量を45%削減し、2050年までにネットゼロを達成するという目標が掲げられ、持続可能なモビリティへの関心は高まり、EVへの移行を加速させるものとなった。そうした中、各国は内燃機関車の新車販売を段階的に禁止する政策を打ち出している。ノルウェーが内燃機関自動車の新車販売を2025年までに禁止するとする一方、英国、アイルランド、オランダは2030年までの達成を目指している。各国政府が持続可能性を更に優先することで、消費者と企業も、より低公害車を選ぶようになるなど購買習慣が変わっていくだろう。

より詳細な考察については、レポート『Electric Mobility: Opportunities and Challenges in the Clean Fuel Industry』(有料)をご覧ください。

世界各国・地域における自動車関連の統計データや定性情報をお探しの方は、こちらまでお問い合わせください。

(翻訳:横山雅子)

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