『2022年 世界の消費者トレンドTOP10』では、包括的な視点でウェルネスを最優先することが複数のトレンドに共通するテーマとなっているが、中でも特に顕著に表れているのが次に挙げる3つのトレンドである。
- 人生を大きく見直す:人々は自身のキャリアの選択について見つめ直し、自分にとって最も大切なことを優先するようになっている
- 自分らしさを愛する:消費者は決断を下す際、それが自己の成長や向上に繋がるかを基に判断し、自分らしさを高めてくれる製品・サービスを選択している
- 資産管理マニア:消費するよりも投資することが必要だと考えられるようになってきたことで、経済的な安定がウェルネスの要素のひとつとして認識されるようになった
活力を取り戻す
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを機に、「人生を大きく見直す」消費者が増え、思い切った自己変革をしたり、価値観や生活スタイル、人生の目標を包括的に見直す動きが広まった。
あなたにとっての「良い人生」とは、どのようなものだろうか。ユーロモニターが2015年に実施したライフスタイルサーベイ調査によると、「自分のための時間」が優先事項だと回答した消費者はわずか12%だったが、2021年には24%に増加した。パンデミックによって単一的に消費者のライフスタイルが変化したのではなく、ライフスタイルが変わり続けること自体が大きなトレンドになっていることは確かだ。
また、消費者は仕事と私生活との間に境界線を引くことを、今まで以上に重要視するようになっている。彼らはペットを飼ったり、旅行先から仕事をするといった活動が、自分の心身の健康にどのような影響をもたらすかを再評価している。
企業は、この一世代に一度あるかないかという節目に対応するために、提供する製品・サービス(あるいは体験)にイノベーションを起こすと共に、激動する世界を認識し、受け入れたうえでマーケティングを行う必要がある。
「人生を大きく見直す」トレンドを示す消費者の姿勢/人生の優先事項
自分らしさを大切にすることで幸せに
今日の消費者ライフスタイルを主導しているのは、「受容」、「セルフケア」、そして「インクルージョン」といった考え方である。消費者は、これまで以上に自分らしくあることと、自分を愛することを大切にするようになった。「自分らしさを愛する」消費者は、自分が幸せに感じる感覚や、ありのままの姿でいて心地よいと感じることに重きを置き、自分らしさを楽しもうとしている。そして、何か行動を起こす際には、「誰のためにやるのか」を自身に問うことを忘れない。
消費者は自分の心身をケアするための投資を惜しまず、カンナビス入りの製品や高級ハンドバック、サロン品質の美容製品や低・ノンアルコール飲料などにお金を使っている。
企業が「自分らしさを愛する」消費者を取り込むには、人々の身体的、感情的、精神的な喜びを刺激するような製品・サービスを提供すべくイノベーションを起こしていく必要がある。顧客と密な関係を構築し、彼らの人生を豊かにするべくサポートすることは、もはや企業にとって必須である。
資産運用の一般化が個人の成長を支える
「資産管理マニア」トレンドは、ウォール街のトレーダーではなく、一般の個人投資家たちのために設計された、使いやすい投資・バンキングプラットフォームなどに見られる。
消費者は世界的パンデミックが引き起こした不安定さに対応すべく、これまで以上に資産管理を自ら行うようになった。そのような流れにより、世界的に資産運用の一般化が促進され、包括的なウェルビーイング実現のためには経済的安定が不可欠であるという認識が広まりつつある。
米国では、使いやすさが評価されている取引アプリ、Robinhoodが個人投資家の間で支持され、2021年に上場した。南アフリカのEasyEquitiesは、資産価値を増やしたい個人投資家向けの取引プラットフォームとして人気を博しているが、同プラットフォームにおける取引額の大きさが、世界の株式市場に影響を与える可能性があったことから、2021年2月には同プラットフォームのユーザーがNokia株を購入することが禁じられる事態に発展した。
企業もまた、銀行口座を持たない人々や十分な金融サービスを受けられない人々に対しても経済的安定をサポートできるようなサービスを提供するなどの対応をしてきた。英国の予算管理アプリRevolutは、支出パターンを簡単に追跡、分類、可視化することができるなど、ユーザーの資産管理を支援している。 ブラジルのネット専用銀行であるNubankは、消費者が従来銀行口座を持つ場合に生じる手数料や煩雑な手続き無しで、バンキングサービスの利用を可能にした。
インドでは、FamPayが10代の若者向け決済アプリを提供しており、ユーザーは実際の銀行口座を持つことなく同社が発行するデビットカードを使用することができることから、若者層の金融リテラシーの向上にもつながっている。 エルサルバドルでは、2021年にBitcoinが法定通貨となり、銀行口座を持たない人々の多くがキャッシュレス決済やオンラインショッピングを利用できるようになった。
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