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必需品と裁量品:価格と入手可能性の推移を把握する

5/18/2022
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※本記事は英語でもご覧いただけます:How to Track Prices and Availability for Essential and Discretionary Goods

2022年に入って以来、様々な要因がコストプッシュおよびディマンドプルを引き起こし、インフレ圧力が依然として高い。そうした中、企業にとっては主要市場の価格と入手可能性がどのように変化しているかを注意深く追跡していくことが重要である。消費財をいくつかのグループに分け、それらの価格上昇と入手可能性が市場をまたいでどのように推移しているかを知ることで、優先すべき価格戦略やサプライチェーン戦略の決定に役立てることができる。

ユーロモニターインターナショナル(以下、「同社」)の Price and Availability Tracker は、主要10か国市場の消費財を裁量品群と必需品群に分け、価格と在庫状況の変化をモニターしている。必需品と裁量品については、同社の産業予測モデルにおける所得の弾力性に加え、やはり同社の産業リサーチチームからのフィードバックを基に分類されており、例えば、牛乳やトイレットペーパーは必需品、ポテトチップスやウイスキーは裁量品となる。同ツールは、6つの産業にかけて148の必需製品と285の裁量製品をカバーしている。本記事では、このツールを用いて、下記項目について考察する。

  • 各国のオンラインで購入可能な必需品と裁量品の価格は、時間の経過と共にどのように推移しているのか?
  • Eコマース上における購入可能なSKU数や欠品率といった入手可能性に関する指標は、サプライチェーンのひっ迫を受けてどのように変化しているか?

米国ではホリデーシーズン前に必需品のオンライン価格が急上昇

imagec2fa.pngSource: Euromonitor International, Via Inflation Surge: Price and Availability Tracker. Price Index: January 1, 2020 = 100

  • 米国における必需品の価格の中央値インデックスをみると、2021年9月1日の1から2022年3月31日には113.4となるなど、半年で5ポイント近く増加した。上のグラフからもわかるように、必需品群の価格は需要や製品の在庫状況によって大きく変動する。
  • 米国の必需品群は、特にホリデーシーズンに入る前の数週間でオンライン価格が上昇している。2021年12月14日の中央値インデックスは119.28となり、6か月ぶりの最高値となった。この時期の価格高騰は、年末のパーティーや集まりのために準備をしなければならない消費者の家計をさらに圧迫した。年末にかけては需要が減少したため、同製品群の中央値はホリデーシーズン前の水準まで下がったものの、その後はメーカーが低価格を維持することが難しくなり、調査期間の終わりにかけて再び上昇傾向に転じている。

サプライチェーンの混乱を受け上昇する米国の必需品欠品率

米国における購入可能な必需品のSKU数と欠品率(2021年9月~2022年3月)
image6quug.pngSource: Euromonitor International, Via

  • また、Price and Availability Trackerでは、各国のEコマースにおける入手可能性の安定に関連した2つの指標として、「購入可能なSKU数」と「欠品率」を確認することができる。「購入可能なSKU数」は米国のEコマースサイトで購入可能な必需品SKU数の14日間の推移平均を測定しており、「欠品率」は小売業者がオンライン上で在庫切れと表示したSKUの割合で、同様に14日間の推移平均を測定している。EC業者はサイト上で在庫切れと表示するよりも、SKUがない状態にしている場合が多いため、単に欠品率だけに注目するよりも、この2つの指標を使うことでその国のEコマースの入手可能性をより総合的に見ることができる。
  • 米国では、2021年11月上旬に購入可能な必需品SKU数が35万SKUを超え、ピークとなった。これは、小売業者がホリデーシーズンの買い付けを強化したためである。しかし、米国ではサプライチェーンのトラブルが続いたため、その後4か月間における購入可能なSKU数は減少傾向にあり、3月末にかけてようやく回復に転じた。一方、米国における必需品の欠品率は、2021年9月の6.1%から2022年3月末の8.4%まで、この半年間で継続的に上昇した。また、図にはないが、米国では裁量品の欠品率が3月末に10.2%に達しており、EC業者が消費者の最も重視する製品、すなわち必需品の在庫に重きを置いていたことを示している。

英国では裁量品の価格変動がサプライチェーンの混乱と密接に関係している

image4x67s.pngSource: Euromonitor International, Via Inflation Surge: Price and Availability Tracker. Price Index: January 1, 2020 = 100

  • 英国の裁量品に目を向けると、オンラインで購入可能な製品の価格の中央値が6か月間で大幅に変動していたことがわかる。2021年9月1日の裁量品の中央値インデックスは101.4だったが、2022年3月31日には108.7となり、わずか6か月で7.6%上昇した。なお、2022年2月2日の120.9をピークに、調査期間の終盤にかけて徐々に低下している。
  • ある期間における価格上昇(下落)の絶対値を追うことは重要だが、価格変動率を追跡することも、消費者にとって日々の買い物環境がどれだけ安定しているかを知るために、同様に重要である。変動係数は、平均値に対するデータポイントのばらつきを見るための統計指標である。英国における裁量品群の価格中央値の変動係数スコアは19.6%で、調査対象10か国の平均スコアの約3倍となっており、同国の裁量品群のオンライン価格が、調査対象国の中で最も変動していたことを示している。

英国における購入可能な裁量品のSKU数と欠品率(2021年9月~2022年3月)
blobid0.jpgSource: Euromonitor International, Via Inflation Surge: Price and Availability Tracker

  • 英国における裁量品の入手可能性指標を分析すると、この時期が製品在庫を抱えるオンライン小売業者にとって、いかに混沌とした時期であったかがわかる。特にこの時期最初の 3か月は、Brexitに関連したサプライチェーンの混乱や様々な労働力不足など、小売業者を取り巻く課題が多かったことから、裁量品群の欠品率は 26% 以上に跳ね上がった。
  • 欠品率については、年初に上昇したものを除けば、「通常」に近い状態に戻り、調査期間最後の2か月の平均は約11%であった。しかし、グラフの紺色の線からもわかるように、購入可能なSKU数が減少していることから、ECサイトが在庫切れの表示に対して顧客がフラストレーションを募らせることを考慮し、それら在庫切れ製品をサイト上から削除していたことがうかがえる。

インフレおよびサプライチェーンのひっ迫が、買い物客と企業にとっての最大の関心事となっている今、製品の価格と在庫状況を標準化して追跡することは、競争力維持のためにこれまで以上に重要になっている。サプライチェーンの入手可能性指標を追跡・モニターする方法や、ユーロモニターのオンライン製品価格追跡プラットフォーム「Via」を活用してシリアルなどの食品衛生用品など独自の製品群を作成し、インフレと入手可能性を追跡する方法については、こちらからお問い合わせください。

(翻訳:横山雅子)

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