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摂取型美容製品と性別に特化した機能性食品の台頭

2/10/2022
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※本記事は英語でもご覧頂けます:The Rise of Ingestible Beauty and Gender-Specific Functional Food

消費者の関心が高まる「インジェスティブルビューティ」というコンセプト

消費者が自身の容姿を改善するためにホリスティックなアプローチをとるようになったことで、インジェスティブルビューティ(摂取可能な美容製品)に対するニーズが高まっている。より多くの消費者が、肌や髪に効果があり、加齢や将来起こり得る美容に関する悩みを予防できる食品を求めている。

特に、スキンケア関連製品は世界レベルで発展しており、肌の健康を訴求した加工食品はますます普及しつつある。世界的に見て、同訴求を有する加工食品のSKU数は、2019年から2020年にかけて53%増加した。肌の潤いを補う製品も増えており、2020年には11%増加している。また、肌や心臓の健康など、より広範囲において健康に良いとされている抗酸化作用は、より一般的な健康訴求として加工食品に使用されてきた。食を通じた美容への消費者意識が高まっていることから、抗酸化から美容関連の訴求に切り替えることで、ブランドを差別化することができるだろう。

スキンケア関連の訴求を有する加工食品のSKU数(2019年 vs 2020年)

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Source: Euromonitor International, Product Claims and Positioning

肌の健康を訴求する製品が急速に成長しているのに対し、摂取型のヘアケア製品は市場の基盤が小さく、その成長スピードも非常に遅い。しかし、髪の健康もまた、世界中の美容意識の高い男女の関心を集めている。ユーロモニターインターナショナルが2021年7月に実施した『ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:ビューティーサーベイ』によると、世界の消費者の5人に1人が薄毛に悩んでいることがわかる。

薄毛や抜け毛の予防には、先手を打った積極的なアプローチも変化に応じた対処的なアプローチも両方有効だと言われている。薄毛や抜け毛の原因はホルモンに関連するものが多いが、たんぱく質やビオチン、ビタミンA・B・C、亜鉛、鉄分などの栄養素が髪の毛の健康維持に効果的だとされている。

インナービューティーの次のターゲットは男性

美容意識の高い消費者層は女性だけではない。肌や顔といった外見の美に関連するものは、男性消費者を取り込むための重要な要素となっている。男性用スキンケア製品のニーズも高まっており、2025年に向けて世界のあらゆる地域でその需要は伸び続けると予想されている。2016年と2021年に実施した『ビューティーサーベイ』の結果を比べると、顔用保湿剤やフェイスマスクなど、スキンケア製品を使用する男性消費者の割合が大幅に増加していることがわかる。2021年には、世界的に顔用保湿剤を「少なくとも月に1~3回は使用する」と回答した男性消費者の割合は50%に上る。

また、男性消費者のカラーコスメ製品の使用率も上昇している。2021年、BBクリームもしくはCCクリームを「毎日使用する」と回答した男性消費者はわずか4%だったが、「少なくとも月に1~3回は使用する」男性消費者は19%に上った。時々しか使わない人の方が毎日使う人より多いのは、特別な日や、クマやシミなどの肌トラブルが出てきた時に見た目を良くしたい、というニーズが生じるためだと考えられる。

スキンケア製品・カラーコスメ製品を「少なくとも月に1~3回は使用する」男性消費者の割合

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肌トラブルは、ライフスタイルを改善したり特定の栄養素を摂取することで予防することができる。しかし、摂取型の男性向け美容製品は依然開発が遅れているのが現状だ。ただし、サプリメント業界ではイノベーションが起こり始めている。例えば、米国のブランドHims(ヒムズ)は、男性の髪の健康の維持を助ける「Biotin Builder Gummies(ビオチンビルダーグミ)」といったグミタイプの製品など、男性専用の美容製品や栄養補助食品を販売している。

この領域はまだニッチだが、機能性食品を扱う企業の中にも、その潜在性に注目し、参入し始めているところもある。日本の食品大手である明治は、2020年に「アミノコラーゲンMen(メン)」という、男性をターゲットとしたコラーゲンパウダーを発売し、総合的な健康だけでなく肌コンディションも改善したいと考える男性消費者にアピールしている。同製品にはフィッシュコラーゲン、セラミド、ビタミンC、亜鉛が含まれている。

機能性食品は、女性特有の健康に関する悩みに商機が

美容に加え、女性特有の健康課題もまた、機能性食品のトレンドの中で話題になりつつある。PMS(Premenstrual Syndrome、月経前症候群)だけを見ても、その影響を受けている女性は多い。PMSは、気分の落ち込み、不安感、肌荒れ、頭痛など、様々な症状を伴う。ユーロモニターインターナショナルの『ヘルスアンドニュートリションサーベイ』によると、40歳未満の女性の89%が過去12か月以内に生理があったと回答している。また、一部の調査によると、75%近くの女性が生理中にPMSを経験しているとしている。

PMSや更年期障害の症状を和らげるための機能性食品が現れ始めており、、そうした製品への潜在需要は強い。例えば、米国のThe Functional Chocolate Company(ファンクショナルチョコレートカンパニー)は、女性の健康課題をターゲットにした機能性チョコレートを幅広いラインナップで提供している。同社の「Rhythm Chocolate(リズムチョコレート)」と「Hot Chocolate(ホットチョコレート)」はそれぞれ、PMSと更年期障害の悩みを改善するための製品である。「ホットチョコレート」には、月見草オイル、アカツメクサ、ワイルドヤム、甘草根、ドンクアイ、ブラックコホシュ、チェストベリーなど、様々な機能性成分が含まれている。

ギャップを見つける

男性・女性向けの美容や、PMS、更年期障害、妊活といった女性の健康をターゲットにした機能性食品が急速に伸びている一方で、男性特有の健康課題をサポートする製品は市場にまだ少ない。フェムテック関連のイノベーションが盛んに行われたことで、女性の健康がよりオープンな話題となったものの、男性の健康への注目度はそれほど高くない。しかし、男性の健康を促進する製品へのニーズは拡大しており、マカの根など男性の健康課題をサポートする機能性成分もある。

今後だが、インナービューティーのコンセプトから美容にアプローチし、容姿の改善に努める消費者が増えていることから、美容機能性食品には大きな潜在性がある。さらに、男性を含むより幅広い消費者層を対象とし、美容だけにとどまらず、ジェンダーに特化したテーマでイノベーションを起こすことで、このホワイトスペースに商機をもたらすことができるだろう。

美容やジェンダーに特化したテーマに対応する機能性食品に関するより詳細な情報は、レポート(有料)をご確認ください。また、世界各国・地域の加工食品業界に関する統計データや定性情報をお探しの方は、こちらまでお問い合わせください。

(翻訳:横山雅子)

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