
商品やブランドの強みを伝える「No.1」という表現。その説得力を支えるには、客観的なデータが欠かせません。
では、第三者の調査会社によるデータを使っていれば、それだけで「No.1」という表現にも第三者の裏付けがあると言えるのでしょうか。
ここには、見落とされやすい違いがあります。
データそのものが第三者による調査に基づいていることと、そのデータから導かれる「No.1」という表現まで第三者が評価していることは、同じではありません。
市場や販売チャネル、消費者層が異なるなかで、明確かつ根拠を説明できる訴求を行うには、この違いを理解しておくことが重要です。
データ上の1位が、そのまま「No.1」とは限らない
たとえば、あるカテゴリー、ある地域で、ブランドAの前年の売上金額が最も高かったとします。
「売上金額が最も高い」というのは、データから読み取れる事実です。しかし、そこから「No.1ブランド」と表現するには、もう一段階の判断が必要です。
- 何を基準に1位とするのか
- どこまでを市場として捉えるのか
- そして、消費者はその表現をどのような意味で受け取るのか
こうした点は、データベースから数字を取り出すだけでは決まりません。
さらに考える必要があるのが、そのデータが市場のどこまでを捉えているかです。
たとえばPOSデータでは、一部の小売事業者やEコマース、オンラインマーケットプレイス、D2C、専門チャネルなどが対象に含まれていない場合があります。対象外の領域があっても順位に影響しないケースもありますが、結論が変わる可能性もあります。
あるデータセットで、ブランドAのシェアが35%、競合ブランドが25%だったとします。一見すると、ブランドAが明確な首位に見えます。しかし、そのデータが市場全体の60%しかカバーしておらず、残りの領域では競合ブランドが強かったとしたらどうでしょうか。
このように、数値そのものが正しくても、それだけで「市場全体でNo.1」と言えるとは限りません。
大切なのは、数字が正しいかどうかだけではなく、その数字が、広告で示そうとしている市場の範囲を適切に表しているかです。
「データの裏付け」と「No.1訴求の認証」は何が違うのか
第三者の調査会社によるデータで「ブランドAの売上は5億ドル」と示されていれば、その数値には第三者調査という客観的な根拠があると言えます。
一方、その数字をもとに広告主が「No.1ブランド」と表現する場合、「No.1」という結論まで第三者が評価しているとは限りません。
これが、データの裏付けとNo.1訴求そのものに対する第三者評価の大きな違いです。
No.1訴求の妥当性を見極めるには、数値だけでなく、市場の定義、対象地域、販売チャネル、評価指標、調査方法、データが捉えていない領域、そして実際に広告で使用する表現まで含めて検討する必要があります。
たとえば、
- 「調査対象となった販売チャネルで売上1位」というデータを「市場No.1」という表現の根拠にできるのか
- 重要なチャネルや競合ブランドが調査対象から外れていないか
- 「No.1」という言葉から、消費者はどこまでの範囲を想定するのか
こうした点まで考慮して、根拠と表現が適切に対応しているかを見極めることが重要です。

世界No.1ホワイトビール「ヒューガルデンホワイト」(写真:ユーロモニターインターナショナル)
ユーロモニターのNo.1認証サービスでは、根拠となる情報と実際に使用する訴求内容との関係を、第三者の立場から評価します。市場の定義、地域、販売チャネル、指標、調査方法、表現などを検討し、その根拠からどの範囲まで訴求できるのかを見極めます。
その結果、提案された表現が適切と判断される場合もあれば、対象範囲を明確にするための条件を加える、より限定的な表現にする、追加の根拠を求める、別の表現を提案するといった場合もあります。現在の根拠では、提案された訴求を支持できないという結論になることもあります。
重要なのは、広告主が希望する「No.1」という結論を第三者がそのまま追認することではありません。根拠となるデータからその表現を導くことが妥当かどうかを、独立した立場から判断することに意味があります。
ユーロモニターでは、特に地域や世界を対象とする訴求について、一つの小売事業者や一つのデータソースだけで市場全体を代表しているとみなすのではなく、より広い市場の状況を踏まえて検討します。
もちろん、すべての訴求が市場全体を対象とする必要はありません。特定の小売事業者、販売チャネル、地域、セグメント、調査対象範囲に限定した「No.1」という表現が適切な場合もあります。
重要なのは、根拠が示している範囲と、広告表現から読み取れる範囲を一致させることです。
その「No.1」は、どこまで第三者が評価しているのか?
第三者の数字を引用したいのか。それとも、「この根拠ならNo.1と表現できる」という判断まで第三者に求めるのか。
似ているようですが、両者の役割は異なります。
客観的な数値を引用することが目的であれば、第三者データを利用することで足りる場合があります。
しかし、消費者に向けて発信する「No.1」という結論そのものについて第三者の裏付けを得たい場合は、データの出典だけでは不十分です。市場の範囲や根拠、実際に使用する表現まで評価されているかを確認する必要があります。
なぜなら、データに第三者の裏付けがあることと、そのデータから導いた訴求まで第三者が評価していることとは、別の話だからです。
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データを引用するだけでは十分とは限らない理由と、根拠と実際の広告表現を結び付ける際に考慮すべきポイントを解説しています。
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