※本記事は英語でもご覧頂けます:CBD’s Slowdown in the US: What Went Wrong in 2020
本記事の内容は、Natural Products Insiderのオンライン版に掲載されたものです。
カンナビジオール(CBD)は2019年、米国の消費者市場に見事に参入してみせた。非向精神活性剤であるCBDは、わずか1年の間にほぼゼロの状態から40億米ドル強の売上を記録したのである。しかし、この新興産業の勢いは、2020年後半には停滞してしまったようだ。売上高は前年比で約20%の伸びにとどまり、まだ販売が開始されたばかりの製品としては予想を大きく下回っている。また、消費者の反応の違いも浮き彫りになりつつある。この減速の背景には、CBD製品市場が飽和状態にあることや、規制面での不確実性により、製品の発売や品質に支障をきたしていることがある。
米国の2018年農業法の成立をきっかけに、あらゆる消費財カテゴリーにおいて、CBD製品の発売が急速に進んだ。1年足らずの間に、米国の消費者は、最も加工されていない形態(花)だけでなく、局所用軟膏、飲料、カプセル、食品など、さまざまな種類のCBD製品を購入できるようになった。これらの製品は、薬局だけでなく、スーパーマーケットやオンラインショップでも購入することが可能である。これらの新しい製品は米国人を惹きつけ、CBDユーザーの数は、2019年末までに1300万人を超えた。
しかし、2020年末時点でのCBDユーザーの数は1,480万人と、13%の増加にとどまっている。ユーザー数の伸び悩みの要因としては、製品の効果や使用目的について、不正確な表現や誤解を招くような表現をしている製品が多いことが挙げられる。また、品質管理の甘さから消費者が離れているメーカーもある。こうした製品、特にCBDが十分に含まれておらず効果が得られない製品を購入した消費者は、お金を無駄にしたと感じ、今後他のCBD製品を試すことをためらうようになるだろう。
CBD製品の伸び悩みは、規制が明確でないことも部分的な要因となっている。2018年の農業法では、産業用大麻(ヘンプ)を合法化したものの、すべての消費者向け製品にCBDを使用することを合法化したわけではない。注目すべきは、米国食品医薬品局(FDA)が、いまだに食品や飲料へのCBDの使用を違法とみなしていることだ。FDAの取締りは、不正確な成分表示や法的に認められた量を超えたテトラヒドロカンナビノール(THC)を含むCBD飲料・食品に集中している。こうした法的措置を避けるべく、メーカーは病状に対する具体的な効果を約束しないようなメッセージを作るように気を付けているが、一部のメーカーはパッケージに工夫を凝らし、製品の潜在的な効能を示唆することに成功している。しかし、総合的に見ると、現在の規制は消費者に混乱をもたらしている。
また、連邦当局は、CBD製品の州間取引を禁止する姿勢を明確に示している。州境を越えて製品を移動することが禁止されているため、結果としてCBD食品・飲料の分野では大手企業が排除されることとなり、国内のメーカーや小売業者はこのカテゴリーを避けるようになっている。今後、市場が改善するためには、より明確且つ、日々進化するCBDの使用と効果についての科学的理解に適応した規制ガイダンスが不可欠である。
CBDの成長は完全に停滞しているわけではなく、CBD産業にはまだ満たされていない可能性があることは間違いない。CBDの評判を向上させ、米国国内の消費者が安全で効果的なCBD製品を利用し、その恩恵を受けられるようにするためには、規制の変更、そして企業による品質改善とメッセージの明確化が求められる。
CBDやカンナビスに関する世界の統計データや定性情報をお探しの方は、こちらまでお問い合わせください。
(翻訳:横山雅子)