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米国の食料雑貨EC市場:WalmartとAmazonの戦い

8/1/2023
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米国は飲食品のEC販売で世界最大の市場であり、同国における食料雑貨のEC売上は、2022年には合計1,800億米ドルに達した。様々な小売業者が食料雑貨EC市場でしのぎを削っているが、業界の二大巨頭、WalmartとAmazonが他を圧倒している。この2社は、食料雑貨のEC販売で優位に立つために、それぞれ数十億ドルを投資してきた。しかし、この二大巨頭がシェア争いを繰り広げる中でも、他の小売業者たちも好条件さえ整えば、生き残るだけでなく、米国の飲食品EC市場で大きく成功することが可能である。

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米国飲食品EC市場:カーブサイドピックアップの強さが支えるWalmartの優位

WalmartとAmazonの飲食品カテゴリーごとのEC売上シェアをみると、それぞれの独自の強みがわかる。例えば、生鮮食品に関しては、米国の消費者は、宅配よりもクリック&コレクトを好む傾向がある。

これは、米国国内居住者の約90%がWalmartの店舗まで10マイル以内に住んでいるという、同社の広大な店舗ネットワークにとって好都合だ。Walmartは、先を見越すように、2019年にカーブサイドピックアップサービスの展開を開始し、2020年と2021年のパンデミックによって発生したECブームに乗って強固な地位を固めた。今日、Walmartは米国におけるカーブサイドピックアップの主要プレイヤーであり、2022年末現在、同サービスが提供されているWalmart店舗は4,600に上った。

Walmartはまた、独自の即日配達サービスの開発にも大規模な投資を行っており、2022年末現在、米国内の3,900店舗でこのオプションを顧客に提供しているが、35米ドル以上の注文については無料でカーブサイドピックアップサービスを提供しており、高インフレ下の消費者は、同サービスを活用し続けている。

各国のEC市場における四半期ごとの売上を、業界、製品カテゴリーおよびサブカテゴリー、ブランド、そしてECサイトごとに追跡しているユーロモニターのE-Commerceデータベースを見ても、Walmartの生鮮食品のEC販売における優位性は、同社のカーブサイドピックアップの強みが支えていることがわかる。

Walmart2022年米国の食品EC総売上の中、乳製品・代替品の31%、調味料・調理済み食品の21%、主食類の32%を占めている

出所:ユーロモニターインターナショナル

このように、Walmartは現在、米国の飲食品EC市場におけるNo.1リテーラーとして君臨している。生鮮食品を除いても、同社のシェアは2023年第1四半期時点で28%に上る。

配達に適した常温保存が可能な飲食品が強いAmazon

米国の飲食品EC市場を総合的にリードするのはWalmartかもしれないが、製品カテゴリーごとのシェアをみると、Amazonがトップの座を占めているカテゴリーもある。

2022Amazonは米国飲食品EC売上の中、スナック菓子の26%、ホット飲料の56%を占めた

出所:ユーロモニターインターナショナル

Amazonが常温保存可能食品カテゴリーで強いことは、同社の基本的なフルフィルメント方法を考えるとわかりやすい。Amazonのサプライチェーンは、1~2日配達の商品には強いが、当日配達にはあまり向いていない。その結果、Amazonの配達モデルは生鮮食品には必ずしも適さないが、コーヒーポッドや紅茶など、コールドチェーン物流なしで簡単に梱包・出荷できるホット飲料をはじめとした、常温保存がきく商品の注文には最適である。さらに、Amazonが保有する「無限の棚」は、品揃えがWalmartよりはるかに豊富であることを意味し、製品カテゴリー全体により多くの選択肢を求める消費者を惹きつけている。

WalmartAmazonが大きな優位性を持つ飲食品EC市場であるが、他社にも勝機はある

WalmartとAmazonが、米国の飲食品EC市場において、圧倒的に強い2社であるかもしれないが、他のいくつかの企業が成功していることは、同2社が、現状に満足してはいけないことを意味する。例えば、同国内のアルコール飲料EC販売では、WalmartもAmazonも、米国でトップ2に入ってはいない。

2022InstacartDrizlyは米国の酒類EC市場において、それぞれ30%16%のシェアを占めた

出所:ユーロモニターインターナショナル

 InstacartとDrizlyの2社は、いずれも伝統的な意味での「小売業者」ではない。両社はむしろ、ハイパーローカル(超地域密着型)デリバリーサービスを提供し、従来の小売業者とパートナーシップを結ぶことで、店舗から即日配達やその他のサービスを提供できるようになるサードパーティサービスプロバイダーである。米国では、50州すべてが酒類のEC販売に関して独自の規制を設けており、EC事業者にとって非常に複雑なものとなっている。ハイパーローカルデリバリーサービスは、すでに酒類販売免許を取得している地域の小売業者と直接パートナーシップを結ぶことで有利に立っている。

Walmart:米国飲食品EC市場におけるトップ企業の地位は安泰か

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InstacartやDrizlyの台頭はあるが、2023年第1四半期の米国飲食品EC市場を振り返ると、WalmartとAmazonの前年同期比の売上成長率は、Instacart、Drizlyの両サービスをそれを大きく上回っている。このことからも、WalmartとAmazonが、米国ECの食料雑貨分野におけるトップ企業であることは明らかだ。特に、Walmartのカーブサイドピックアップ戦略は、同期間、同社の55%という驚異的な成長を支えた。Walmartの総合的なリードは当分揺るぎなさそうだ。

より深い洞察については、各国におけるビューティー&パーソナルケア、飲食品、日用品のEC市場における売上を伸ばすために、企業やブランドが、どのEC事業者との提携を優先すべきかを明らかしているユーロモニターのE-Commerceデータベースに基づき執筆された最新レポート「Identifying Key Retail Partners for Brands to Expand E-Commerce Sales」をお読みいただくか、またはオンデマンド・ウェビナー「Mastering E-Commerce Growth: How to Win Online Amid Uncertainty」をご覧ください。

 

 

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