- アジア太平洋地域の消費者は美容・パーソナルケア用品購入時に「金額に見合った価値」を最重視
- 日本、韓国の消費者は、他のアジア諸国と比較して、高級な成分配合を含む美容製品を好む割合が低い
- 日中韓では、国際的なブランドよりもローカルブランドを重視する傾向
【東京】国際的な市場調査会社であるユーロモニターインターナショナルは、この度、分析レポート「アジア地域の健康と美容市場の消費者にスポットライトを当てて（英語原題：Spotlight on Asia Health and Beauty Consumers）」を発表しました。
日本では低価格、韓国では低刺激性、中国では成分配合が重視される
同レポート内で分析対象となっている、「ビューティーサーベイ2023」（20か国、各国約1000名を対象に2023年実施）によると、アジア太平洋地域の消費者は、スキンケア、カラーコスメ、ヘアケアといった美容・パーソナルケア用品を購入するときに、「金額に見合った価値(Value for money)」を最も重視することが判明しました。
日中韓３か国に注目すると、「金額に見合った価値」の他には「自分の肌／髪に合う」商品が選択され、日本では特に「低価格」、韓国では「低刺激性」、中国では「成分配合」が重視される傾向にあることがわかりました。
日本や韓国では高級な成分配合を含む美容製品よりも金額に見合った価値を追求
「ビューティーサーベイ2023」調査結果をみると、アジア太平洋地域の消費者は、世界平均と比較して、高級な成分配合を含む美容製品を好む傾向がやや強いことがわかります。他方、興味深いのは、日本や韓国のような一人当たりの美容製品への支出が多い市場では、消費者は、高級な成分配合かどうか、価格が高いかどうかではなく、金額に見合った価格を追求し、結果として、高級な成分配合を含む美容製品よりも低価格の製品を好む消費者の割合が、他のアジア諸国と比べて高くなっています。
この理由に関して、ユーロモニターのYang Hu健康・美容インサイトマネージャー（アジア担当）は、①日本や韓国といった国々では消費者の美容製品に関する知識が多く、高級な成分配合を含む美容製品を盲目的に信用する傾向が低いこと、②スキンクリニックのような代替手段を利用しやすいことが美容製品の重要性を薄めていることが理由に挙げられる、と分析しています。
高級な成分配合を含む美容製品と低価格製品のトレードオフ
また、近年の景気悪化の影響を受け、アジア太平洋地域においても、こうした高級な成分配合を含む美容製品から低価格製品に流れる傾向がみられます。例えば、高級成分を配合するスキンケアとカラーコスメ製品と、低価格製品のトレードオフ関係に関する、2019年と2023年の調査結果を比べると、低価格の製品を「強く好む」または「やや好む」と回答した人の割合は、4年間で24％から28％に増加した一方で、高級成分を配合した美容製品を好む回答者の割合は、若干減少しています。この点に関し、Yang Huインサイトマネージャーは、「消費者が低価格製品を好む傾向の中、各ブランドは、とりわけ必須ではない美容製品については、製品が金額に見合った価値を提供しているということを消費者に伝える必要が出てくる。ここでいう価値とは、機能性、美的体験、ウェルネス効果、そして社会的認知である」と述べています。
「国際的なブランド」だけではもう売れない
近年、国内の美容コンセプトが次々と登場し、製品の品質が向上するにつれて、消費者は商品選択の際に、ブランドの国際的背景よりも「金額に見合った価値」と品質を優先するようになっています。
Yang Huインサイトマネージャーは以下のように述べています。
「特に、日中韓などの美容産業が発展している国では、その他の国々と比較しても、地元の美容コンセプトが高い認知度を得ており、このような市場環境は、ローカルブランドが成長するためにも好都合だ。そのため、日中韓市場に参入する外国ブランドにとっては、国際的なブランド名は万能薬とはなり得ない。高品質の製品を持つブランドだけが、これら市場における競争を勝ち抜くことができる」
各国発祥の美容コンセプトへの認知度に関する調査結果では、中国や韓国では、自国発祥の美容コンセプト（すなわち中国ではC-Beauty、韓国ではＫ-Beauty）への認知度が一番高く、日本では、一位のK-Beautyの次にJ-Beautyへの認知度が高くなっています。また、中国では、過去４年間でC-Beautyに対する認知度が大きく上昇したことが判明しました。
自国や外国の美容コンセプトに対する認知度と信頼性
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