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日本がリードするアジア太平洋地域のソバーキュリアス

6/11/2023
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Sober curious(ソバーキュリアス)文化とは、お酒を飲む人が完全に禁酒するのではなく、摂取量を控えめにしようとするトレンドのことである。このトレンドが生まれた欧米では、今や広く普及している。一方でアジア太平洋地域においては、このコンセプトはごく一部の人に知られている段階に過ぎない。しかし、日本では「ドライ※」な取り組みが始まっており、ソバーキュリアストレンドが広まる兆しが見え始めている。

※英語のdryには「禁酒の、アルコール抜きの」という意味がある。

 

パンデミック後、ソバーキュリアスの機運が徐々に高まるアジア太平洋地域

アジア太平洋地域、特に東アジアでは、伝統的にお酒が人間関係を築く上で大きな役割を担ってきた。また、集団主義的な価値観から、飲み会の場でお酒を断りにくい傾向もある。しかし、パンデミックを経て、状況は徐々に変わりつつある。パンデミックによってもたらされた柔軟な働き方によって、不要な飲み会が減り、健康意識の高まりによって、ノンアルコール飲料を選ぶ人が増えている。

アジア太平洋地域におけるノンアルコール飲料の総販売量は2022年に4億8,100万リットルを記録し、2027年には6億2,100万リットルに達すると予測されている。これは2022年から29%の増加であり、2022年から2027年の年平均成長率は5%だ。

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*ノンアルコールビール、ノンアルコールシードル/ペリー、ノンアルコールRTDs、ノンアルコールスピリッツ、ノンアルコールワインを含む

 

アルコールの摂取を控える主な理由は「健康」

アジア太平洋地域の消費者がアルコールの摂取を控えようとする主な理由は健康である。ユーロモニターの「ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:ヘルス&ニュートリションサーベイ(2023年)」によると、アルコールを減らす理由の上位5つのうち4つが健康に関する理由だ。

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出所:ユーロモニターインターナショナル、ボイス・オブ・ザ・コンシューマー: ヘルス&ニュートリションサーベイ(202312月実施、n=2,599

健康への懸念から、機能性を訴求したノンアルコール製品が人気を集めている。例えば、2022年の総販売数量の71%を占めるアジア太平洋地域最大のノンアルコール飲料国である日本では、ノンアルコールビールを中心に、機能性を訴求した様々な製品が登場している。内臓脂肪やお腹まわりの脂肪の低減、食事の脂肪や糖分の吸収抑制など、肥満防止に関する機能性が主流だが、ここ数年は、尿酸値の低減や疲労感の軽減など、多様な機能性を謳う製品が出てきている。

 

若い世代にとって、飲酒は「タイパ」の悪い行為になりつつある

健康を気にしてお酒を控える人にとって、機能性表示食品は魅力的な選択肢であることは間違いない。しかし、若者の場合、アルコール離れの理由は健康上の問題だけではないようだ。

そもそも、若者は上の世代ほど習慣的にお酒を飲んでいない。

 

“40歳以上の10%以上が「ほぼ毎日お酒を飲む」と回答したのに対し、20代は3%、30代は7%であった”

出所:ユーロモニターインターナショナル、ボイス・オブ・ザ・コンシューマー: ヘルス&ニュートリションサーベイ(202312月実施)

 

この結果は、多くの若い消費者にとって、お酒が日常生活において、なくてもよいものになりつつあることを示唆している。

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出所:ユーロモニターインターナショナル、ボイス・オブ・ザ・コンシューマー: ヘルス&ニュートリションサーベイ(202312月実施、n=6,811

 

これは、若い消費者が時間を重要視する姿勢とも重なる。

 

“2019年から2023年にかけ、人生の第一優先事項に「自分のための時間」を選んだ回答者は、Z世代が最大の伸びを記録し、2023年には30%に達した”

出所:ユーロモニターインターナショナル、ボイス・オブ・ザ・コンシューマー: ヘルス&ニュートリションサーベイ(202312月実施)

 

自分のための時間を大切にする若者にとって、昔ながらの飲み会に参加したり、仕事帰りの貴重な自由時間を酔っぱらって過ごすのは、時間の無駄遣いと感じられる。若い世代にとって、お酒は非効率な娯楽になりつつあるのだ。

 

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出所:ユーロモニターインターナショナル、ボイス・オブ・ザ・コンシューマー: ライフスタイルサーベイ(202312月実施、n=14,355

 

日本で始まりつつある「ドライ」な取り組み

こうした若者の変化を受け、酒類企業各社は戦略を変えている。2022年、アサヒビールは、ソバーキュリアスを謳うバーを渋谷にオープンした。客はクラフトコーラやレモネードなど100種類以上のドリンクを、0%から3%まで好みのアルコール度数で注文することができる。

若者向けショッピングセンターを展開するパルコは、2022年からDry January(ドライ・ジャニュアリー)を取り上げたキャンペーンを実施している。ドライ・ジャニュアリーは、飲酒量が多くなりがちな12月の翌月である1月に、お酒を控えようというイギリス発祥の取り組みだ。2023年のキャンペーンでは、パルコのオンラインストアと一部の店舗で、20社のノンアルコール/低アルコール飲料が販売された。

こうした「ドライ」な取り組みは、日本ではまだニッチな動きに留まっているが、向こう数年間で大きくなると見られており、他のアジア諸国でも広まることが予想される。実際に、2022年には中国でライアーズスピリット社が世界初のノンアルコール白酒(中国のアルコール度数50%前後の蒸留酒)を発売している。アジア太平洋地域は、欧米に比べて元々アルコールに弱い人の割合が高いことを考えると、ソバーキュリアストレンドは、この地域で大きく成長する可能性を秘めていると言える。

酒類業界の課題やチャンスについて、より詳細な分析についてはこちらのレポートAlcoholic Drinks in Japanをご覧ください。

 

 

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